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「逃走用の車を用意しろ。それに1歩でも近寄ってみろ、人質全員ぶっ殺すからな。」



という何とも気合いの入った強盗犯達と真選組との睨み合いは続き、1時間ほど経とうとしていた。







act 10







銀時は、正露丸を飲んだはずなのに今だ治まる様子が見えず、相変わらず瀕死状態であった。
そんな銀時をは心配そうに見ていた。



「大丈夫ですか?顔色がさっきよりも悪くなったような気がするんですが。」

「なァ嬢ちゃん、俺ァ腹痛で死ぬのかな?さっきから便所の幻覚が見えんだよ。」

「イヤー!お侍さん!気をしっかり!!」



小一時間ほどずっと銀時に応援の言葉をかけてくれるであったが、
縄で縛られた腕を、ずっと強盗犯達に気付かれないようにゴソゴソしていることに銀時は気付いていた。
しかし、銀時はそれどころではなかった。
だって俺、腹が痛いんだもん。



ぐるるるるる



銀時の腸が再び鳴った。銀時VS下痢の第3ラウンドである。



「あー!もう我慢できねェ!!便所!!!」



そう叫んで、もう我慢できなくなった銀時はガッと立ち上がった。



「おい!お前勝手に動くんじゃねェよ!」



人質見張り役の男が刀を抜いて銀時に近寄ってきた。



「うるせェ!俺は便所に行くんだ!」

「動くな!叩き斬るぞ!」

「お前、俺を斬って良いのか?お前が俺を斬った瞬間に銀さんのケツの穴から火が噴くぞ。」

「ちょっとォ、お前まだ腹治ってなかったのォ!?」

「そうだよ悪いかコノヤロー!俺を便所に行かせろー!!」



うがー!と吠えて、店内のトイレへ向かおうとする銀時に男が斬り捨てる構えをとった。
は銀時の危険を察知して銀時と強盗の間に立った。



「強盗さん!まあまあ、落ち着いて!」

「あぁん?ぜってーコイツ、トイレから逃げるだろうが!邪魔すると娘、お前も斬るぞ!」



を斬ろうとした強盗に、今度は銀時がの前に立った。



「逃げねェよ!じゃあ何か?お前、銀さんにここで脱糞しろってのか?」

「ウンコぐらい我慢しろよォ!」

「できねェから言ってんだろうがァ!!!」

「そうそう!侍の脱糞は一生の恥なんですよ強盗さん!」



「うわ!」
「ぬお!」



ギャーギャー騒ぐ銀時とにリーダーらしき男が近づいてきて、後ろから二人の背中を蹴って人質のスペースに戻した。
銀時とは蹴られた反動で床に顔から倒れこんだ。



「お前らウルセーぞ!これ以上騒いだら本当に殺すからな!」



そう叫ぶと、リーダーの男は自分の持ち場に戻った。
ジンジン痛む頬をこらえながら、銀時とはしぶしぶ起き上がっておとなしくなった。
銀時は「頑張れ俺の尻、こらえろ、こらえろ。」と呪文のようにブツブツつぶやいている。
は銀時の限界が近いということに気付いて、一刻も早くこの状況を打開しなければと思った。
でないと本格的に銀時の名誉が損なわれそうだ。
は、再び手を背中でゴソゴソし始めた。
この小一時間ずっと縄が解けないかと奮闘しているのだ。
今の床に倒れたときに、幸運にもちょうど縄の結び目を掴むことができた。



(もうちょっと…!)



右手の人差指が縄の結び目の間に入り、の両腕を拘束していた縄がほどけた。



(よし!)



は人質スペースに立っている強盗犯を見上げた。の縄が解けたことには気付かれていない。
はまだ縄で縛られているかのように振る舞いながら、瀕死状態の銀時に小さい声で話しかけた。



「お侍さん、大丈夫ですか?」

「嬢ちゃん、これが大丈夫に見えるか?」

「ですよね。すいません。その木刀を私に貸してもらえませんか?」



は銀時の腰にある木刀を目で指した。
犯人たちは銀時を人質にするときに日本刀では無かったため、この木刀を奪わなかったのだ。
銀時はの縄が解けたことに気付いた。



(…コイツ、強盗犯を倒そうってのか?)




「私があなたの縄を解いて、強盗達を倒してもらっても良いんですけど、見つからずに縄を解く自信がないんです。」



お侍さん強そうだけど今は腹痛なので、私が倒しますね。とが言った。
大の男3人を自信満々に倒すと言ったに、銀時は”洞爺湖”と焼印が押してある木刀を貸した。
は銀時の腰から木刀を抜き、利き手の左手に木刀を持ち、
スッとその場に静かに立って着物についた埃をパンパンと払った。



「さぁ、お侍さんが脱糞する前に、さっさと終わらせましょう。」



その声に振り向いた人質監視役の強盗を一瞬のうちに倒すと、
はタンッと床を蹴り、ドアで見張りをしていた強盗との間合いを一気に詰めて左から胴を抜いた。
木刀を手にしてから、ものの1分も経たぬうちに2人を倒したに銀時は驚愕した。



(華奢な体で剣豪ねェ。何?神楽といい、天人の娘って皆怪獣なわけ?)



倒れた2人の強盗はよほどのダメージらしく、「あぁ」とか「うぅ」とか言いながら床に転がっている。
いきなりの出来事に、強盗のリーダー格の男は驚いて固まっていたが、はっと我に返り、すぐに剣を抜いた。



「おい、姉ちゃん、アンタ何してんのか分かってんのか?」

「何って、強盗退治。ですねぇ。」



は笑顔でヒュッと木刀の先を下に振った。
それは真剣で斬ったあとに刀に付いた血を振り落とす動作で、真剣での斬り合いに慣れた新撰組時代のの癖であった。
新撰組から離れて1年半近く刀を手にしていなかったが、その癖は身に染み付いたままらしい。



「真剣と木刀、勝負は決まってるが、痛い目見ないとわかんないかねェ?」




そう言って、男は刀を下段に構えた。
それに合わせるようにも木刀をゆっくりと正眼に構えた。
先に倒した2人よりも、さすがにリーダーの男は剣の腕があるようだ。
男が目をカッと開いての間合いに入ってきた。



「きゃあああ!」



人質の女の子には真剣での斬り合いは刺激が強いらしいく、女の子は悲鳴をあげて
もう見ていられないという感じで両手で顔を覆った。
銀時は腹痛を忘れたかのように黙って2人の斬り合いを静観していた。


男は素早く刀を下から上に斬り上げた。
「む。」と、男は斬った時に刀にかかるはずの重みが無いことに声をあげた。
は男が刀を斬り上げると同時に宙にふわりと舞っており、
すとっと、男の刀の剣先に右足で器用に立つと、男の額めがけて目にも止まらぬ速さで突きを繰り出した。


ずたーーん!


と、男は床に倒れた。
額に受けた一撃で、男はすっかり意識を失ってしまったようで白目をむいてピクリとも動かない。


「木刀だって、打ちどころが悪ければ死にますよ。」


と、は静かに言い、再びヒュッっと木刀を下に振ると、銀時の方を向いて、



「さ、お侍さん。厠へ!」



と笑顔で銀時をトイレへ促した。










「うわー。ちゃん強い…。」



を監視していて真選組に通報した山崎が今の戦いを見て思わず声を出した。
駆けつけた真選組は一番隊と土方、それに山崎。
この場にいた真選組隊士たちが、が新撰組だったという証拠を目撃したこととなった。



「こりゃー土方さん、アイツを入隊させやしょう。」



沖田の目が面白いものを見つけたと、輝いた。



「…総悟その話は後だ。一番隊!突入!!」

「「「おぉ!!」」」



土方の合図で真選組が”スーパードラッグ”に突入し、攘夷派強盗犯3人はめでたくお縄になった。








トイレから出てきた銀時には駆け寄った。
銀時は、さっきまでとはうって変わって爽快な顔付きをしている。



「お侍さん!木刀ありがとうございました。」

「おう。嬢ちゃんアンタ強ェなァ。」

「へへへ、それほどでもです。」



は剣の腕を久しぶりに人に褒められ、照れて頭をかいた。



「嬢ちゃん名前は?どこの国出身?夜兎では無いよなァ。」

と申します。実は天人では無いんですが、色々の事情で真選組にお世話になってるんです。」

「真選組ィ!?そりゃ、またエライところに世話になってるねェ。」

「お侍さんのお名前も聞いても良いですか?」

「俺は、坂田銀時っつーんだ。万事屋銀さんとは俺のことだぜ。何か困ったことがあったらウチに来な。」



銀さんって呼んでと言って、銀時はに万事屋の名刺をに渡した。
がほうほうと言って銀時の名刺を見ていると、頭の上にズシリと重みを感じた。
の頭に沖田が顔を乗せていた。顎が頭に当たって痛い。



「なんでィ、万事屋の旦那もいたんですかィ。だったらもっと早く強盗犯倒してくれりゃ良かったのに。」

「いたたたた。沖田さん、顎が痛いです。」

「しょうがねェよ。俺腹が痛かったんだもん。」

「腹痛!?使えねェ旦那だなァ。」

「いたい!沖田さん!本気でいたい!」



を無視して会話を続ける沖田に、は非難の声をあげた。
沖田はの頭から顎をどけ、の両肩を掴んで自分の方に向かせると、
の頭から足まで両手でパンパンパンと叩いてボディチェックした。



「よし。怪我は無いみてェだな。」

「はい!無傷です!」

「沖田クン、それセクハラじゃないの?」



沖田のボディチェックを見た銀時がすかさずツッコむ。
まァ、チャンが嫌がってないから良いけど。と付け加えて銀時はあることに気付いた。



「あぁ。マヨネーズって多串君のマヨネーズ探してたのか。」

「多串君?」



誰だ?とキョトンとするに土方が近づいてきた。
近くに銀時がいることに土方気付くと



「何だ。万事屋もいたのか。だったら早く強盗犯倒せよ。」

「うわ、沖田クンと同じこと言ってる。人質にそういう態度って警察としてどうよ。」

「うわー。土方さんと同じ言動なんて最悪だ。土方さん今の言動取り消してくだせェ。そして土方死ね。」

「うるせェな!なんで俺がそこまで言われなきゃならねェんだよ!」



思わぬ集中攻撃に土方がキレた。
オホンと、気を取り直して土方はの方に向いた。



「怪我はねェか?」

「はい。大丈夫です。」



が笑顔で答えると土方は「よし。」と言って沖田に言った。



「総悟、を連行だ。」

「え?ちょ、何でぇ!?」

、黙って連行されろィ。」



は沖田に腕を掴まれてズルズルと連行されていく。
ギャーギャーとうるさいのが店から出て行った。
その光景を見ていた銀時が土方に尋ねた。



「あのお嬢ちゃんは何者?新入隊士?」

「スパイ容疑者だ。」



土方はそう言って煙草に火を付けると自分も達が出て行った方向へ歩いて行った。




(スパイ容疑者にお使いさせるかねェ?普通。)




銀時は頭をボリボリかくと「まぁいっか」と呟いて、から返してもらった木刀を腰に差し、
ポケットに入っていた正露丸の箱を取り出した。



(アレ。俺、正露丸の料金払ってなくね?)







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はい!2日目終了しました!
ウンコやら便所やら連発しちゃってすいません。
でも銀さん出てきたら自然とそういう方向に向かうよね。
次回はいよいよ最終日ですよー。