空を飛ぶ宇宙船、そびえ建つターミナル。
今でこそ理解できるけど、初めて見た時はそれはそれはビックリしました。





act.4




「…なに?アレ。」


は、外の光景を見た瞬間立ち上がって、縁側に出た。
近藤と土方は何事かとに続く。
は空を見て、えらく驚いている様だが、
近藤と土方には何故がこんなにも驚いているのか分からなかった。



「な…な…何ですか!?あれは!!空に何か浮いてますっ!!!」
「何って…。ただの宇宙船だろ?普通じゃねェか。」
「ウチュウセン?」
「いろんな星から天人がアレに乗って来るだろう?ちゃん知らないの?」
「…アマント?」

「「「・・・。」」」



近藤が土方を連れて、から少し離れてコソコソ話し出した。



(ねぇトシ、ちゃん倒れて記憶喪失なのかな。普通、天人ぐらい知ってるよなァ?)
(…記憶喪失の振りしてこっちを油断させる気かもしれねェ。)
(うーむ、本当にそうかなぁ?)
(あぁ、怪しいぜ。絶対アイツは攘夷派のスパイだ。)



そんな会話がなされているとは知らず、はある仮説を立てていた。
今、ウチュウセンというものを見て、異世界に来たと思った。
 -そのとおりなのではないか?
今までは、世界はこの世とあの世で成り立っていると思っていたが、あの世には天国と地獄があるじゃないか。
この世にも、もう一つ違う世界があっても不思議ではないのではないか。
どうしてかは分からないが、あの世に行くつもりが、この世のもう一つの世界に来てしまった。



(江戸幕府も、字は違うが新撰組もある世界。わたしにとっては天国…か。)



なるほどそういうことか。
どうやら”新撰組のみんな”に会いたいという強い気持ちが、”真選組のみんな”に会わせててしまったらしい。



「オイ。話は終わってねェぞ。早く部屋に入れ。」



土方に促されては再び部屋に戻った。
土方の目つきは鋭いままで(むしろさっきより鋭くなっている)、質問を続けた。



「江戸幕府が滅んだなんていう暴言は聞かなかったことにしてやるから、
なんで屯所の前で倒れてたのか、なんで刀を持ってるのか、答えろ。」



は困った。
私は江戸幕府も新撰組も無くなった世界から来ました。なんて言って良いのだろうか。
第一信じてもらえるのだろうか。



「答えねェと攘夷派の密偵とみなしてぶった斬るぞ。」



そう言って土方は刀を抜いた。
やばい。ものっすごい殺気だ。
…この人、本気だ!!!



「こ、答えます!答えますから!!刀しまってください!」



しょうがない。
信じてもらえるかわからないけど、この人たちに話そう。
は、近藤と土方を見て何から話そうかと考えた。



「…信じてもらえないと思うんですけど、私、たぶん違う世界から来ました。」
「お前、いきなり何言って…」
「…トシ、とりあえずちゃんの話を聞こう。」
「わたし、剣客組織に属してたんです。江戸幕府に不満を抱く長州藩や薩摩藩の不逞浪士達を取り締まっていました。
 でも、戦が起こって、幕府は負けました。幕府も組織も大切な人達も全部失って、わたし死のうとしたんです。
 崖から飛び降りて死ぬはずだったんですけど…。何故か屯所の前に倒れてたんですよね?あなた達に助けられました。」



そして、驚いた表情をしているが黙って聞いている2人に、は困ったように笑って続けた。



「びっくりしましたよ。ここが真選組って聞いた時は。」
「もしかして、ちゃんが属してた組織って…」
「はい。字は違いますが、新撰組です。」



初夏のさわやかな風が部屋を吹き抜けた。













「どう思う?トシ。」
「…。」



近藤と土方は、の部屋から出て廊下を歩いていた。



「俺ァ、ちゃんが嘘をついてるようには思えねェなァ。」
「”新撰組”だぞ。信じられるかよ。」
「でも刀を持ってた理由はソレで説明つくだろ?」
「異世界トリップってやつでさァ。」
「総悟!てめぇ見回りはどうした!っていうか、どこから聞いてやがった!」
「 土方さんが、いやらしくニタニタしながら『この刀あんたのか?』って聞いたとこからでさァ。」
「それ最初からじゃん!」



すかさず近藤のツッコミが入るが沖田は気にせずに続けた。



「ジャンプでもあるだろィ?悟空がペンギン村に行ったじゃないですか。それと同じでィ。」
「同じにしちゃっていいの!?ちゃん結構深刻な感じにトリップしてきたよ!?」
「悟空だって深刻でさァ。ドラゴンボール探しにペンギン村来てんだから。にとって俺らはアラレちゃんってことでさァ。」
「なるほど。」
「わけわかんねェよ!しかもなんで近藤さん納得してンだよ!」
「…あの浅葱色の羽織、アイツ隊服だって言ってやした。」
「隊服着て崖から飛び降りか…。本気だったんだなァ。かわいそうにちゃん…。」
「とにかく、だ。俺はアイツを信用しねェ。怪しい素振り見せたらすぐに斬るからな。」



そういうと土方は自室に戻って行った。
土方の後姿をにらみつけている沖田に近藤は苦笑しながらなだめるように言った。



「まあ総悟、アイツは立場上、少しでも怪しい奴は疑わなきゃならねェ。そう怒るな。」
「…わかってまさァ。」














は先ほど土方に言われた言葉を思い出していた。



『俺はお前が異世界から来たなんて信用してねェ。もちろん”新撰組”なんて信用してねェ。
 だから、この刀は預からせてもらう。そして、お前には3日間監察見張りを付ける。
 少しでも怪しい行動をしてみろ、即斬り捨てるからな。』



3日間監視と言っても、土方はまなが3日間屯所内に居候することを認めたこととなる。
…私だったら、自分みたいな怪しい奴、即行で斬捨てるのに。
ここの人たちはみんなやさしい人たちばかりなんだなと、はしみじみ思っていた。









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近藤のセリフ「深刻な感じにトリップしてきた」ってどんなだよって感じですよね
私の日本語の誤り具合が浮き彫りになっております。(苦笑)
ヒロイン3日間限定で屯所に住むことを認められました。