act 25





ファミレス「れすとらん」に、金髪の良く似た2人が向かい合って座っていた。



「そーですか、ついに姉上も結婚・・・。じゃあ今回は嫁入り先に挨拶も兼ねて?」
「ええ、しばらく江戸に逗留するから、いつでも会えるわよ。」
「本当ですか?!嬉しいっス!!」
「ふふ、わたしも嬉しい。」



ミツバの言葉を聞いて総悟は頬を紅潮させて笑顔になる。


「それじゃあ嫁入りして江戸に住めばこれからいつでも会えるんですね!僕・・・嬉しいッス!!」


「プクク・・・”僕”だってよォォォォ!!」


その様子を少し離れた位置から山崎と原田が見て笑いをこらえている。
山崎がどのファミレスかと探していたところ、丁度沖田姉弟の後をつけていた原田に会えたのだ。
必死に笑いをこらえていたが、総悟に見つかったらしい。


「「あ、ヤベ・・」」


ドゴォォォォン!!!


ミツバの視線を窓の外へ向かせた隙に、バズーカで2人を吹き飛ばした。




その頃、は”ふぁみれす”になかなか到着出来ずにいた。つまり、道に迷っていた。


「やっばいなぁ。この前見廻りで通ったはずなんだけどなぁ。」


着物に身を包んだは良い意味で目立ってしまって、街の注目を浴びていた。
すれちがう男は振り向き、女は「あの真選組のさんが!!」と惚れなおした!と言わんばかりの目で見ている。
ただ、本人は気付いていないようだが。
そこに、爆発音と煙があがった。いつも隣で見ているから間違いない、沖田のバズーカだ。


「あー!よかった!あそこですね!今回ばかりはバズーカに感謝です!!」


は煙の上がっている方へ駈け出した。




「みなさんとは仲良くやっているの?いじめられたりしてない?」
「うーん、たまに嫌なヤツもいるけど・・・僕くじけませんよ。」
「じゃあお友達は?あなた昔から年上ばかりに囲まれて友達らしい友達もいないじゃない。
 悩みの相談ができる親友はいるの?」
「・・・・・・・・・・・・・。」



「大親友の坂田銀時く「なんでだよ」」


予定通り呼びよせておいた銀時を親友と紹介しようとしたら、鋭いツッコミとともに総悟は頭を机に
叩きつけられた。そこまで仕込んでおかなかったからだ。
総悟はこそこそと銀時にチョコレートパフェ3つで約束を取り付けた。


「友達っていうか、俺としてはもう弟みたいな?まァそういう感じかな。なァ、総一郎くん。」
「総悟です。」
「まァ、またこの子は、こんな年上の方と・・・。」
「大丈夫です。頭はずっと中2の夏の人なんで。」
「中2?よりによってお前、世の中で一番バカな生き物中2?そりゃねーだろ、総一郎くん。」
「総悟です。」
「そうそう、親友も大事だけれど、あなたガールフレンドは?一緒にいて心の休まる人も大事よ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」



「あ!いたいた!沖田さーーーん!!遅れてすみません!」


丁度いいタイミングでが現れた。総悟は「遅ぇんだよィ。」と掴みかかりそうになるのを押さえて
笑顔で返した。


「姉上、紹介します。僕のガールフレンド、さんで「なんでだよ」」


再び銀時に頭を机に叩きつけられる。
が、銀時はツッコんだ後に、ハッとした顔をした。


「あ、もしかして俺の知らないところで、2人ってそういう関係だった?」
「銀さん、ガールフレンドってなんですか?」


すかさずキョトンとした顔のが返して、銀時は「ああやっぱりか。」と思った。嬢ちゃんも俺と一緒ね。


「嬢ちゃん、ガールフレンドって”イイ人”のことね。」
「えぇえぇぇぇ!!!”イイ人”!?沖田さんっ、わたしガールフレンドじゃ・・・むぐっ」



慌てて否定しようとするの口を沖田は手で強引に塞いだ。


「はっはっは!いやだなァ!さんったら照れちゃって!ま、そういうところも可愛いんだけどねィ!!」


ぞわー。と、の背中に悪寒が走ったような気がした。
いつもの沖田さんじゃない・・・!!!
2人の様子をミツバはニコニコしながら見つめていた。


「まぁまぁ、そーちゃんったらこんなに可愛いガールフレンドがいたのね。安心したわ。」
「そうなんです!さんの笑顔に僕は毎日癒されてるんス!」
「・・・・・・・・おい沖田くん、そろそろ口の手離してやんねェと嬢ちゃん死ぬぜ?」


沖田の一言も漏らせるものかという強い圧迫によって、半分白目をむいていたはようやく解放された。
空気を沢山スーハースーハーして、ようやく戻ってきたに銀時が耳打ちする。


「嬢ちゃん、沖田君はおねぇさんの前でどうやら色々見栄を張りたいらしいからさ、付き合ってあげてよ。」
「・・・・なるほど。普段の沖田さんの様子はなかなか見せられないですからね。」
「よくわかってんじゃん。さすが側近。」
「伊達に何カ月も部下やってないですよ。・・・・って、えぇ!!!??」


銀時と内緒話をしていたが突然大きな声を挙げた。


「えぇ!!?沖田さんのお姉さんなんですか!!!??」
「えぇ、そうよ。ミツバです。いつも弟がお世話になってるわね。」
「なんでぃ、今気付いたのかィ。失礼なやつだな。」
「こら、そーちゃん。自己紹介していなかったんだから、あたりまえでしょ。」
「はい、おねぇちゃん。」
(ミツ・・・・ミツバ・・・・。そうか・・・。ミツバさん・・・。)
?」
「はっ!あ、あの、すいません。総悟さんの下で働いています。と申します。
 総悟さんには仕事でいつもお世話になっています。」


は深々と頭を下げた。
ミツバはその様子に「礼儀正しいのね。」とクスクス笑った。


さんとは職場恋愛なのね。そーちゃん。」


その言葉に、しまったーーー!と顔に全面的に出たの首根っこを総悟は腕でガっと寄せて
鬼の形相で言った。


(ちゃんと上手い具合にやってもらわないと困るんですけどォォ)
(すいませんすいませんすいません)


沖田に平謝りしながら、はミツバの方をちらっと見た。
ほんとうにおしとやかそうな人だなぁ。
豪快なイメージだったおミツさんとはまた別人だなぁ。
が見ていることに気付いたミツバは、の方を見て、ニコっと笑った。
その笑顔にの頬はポっと赤くなった。なんて綺麗なひとなんだろう。


「(旦那もも頼みますぜ。姉上は肺を患っているんです。ストレスに弱いんです。
 余計な心配はかけさせたくないんでェもっとしっかり友達と恋人を演じてくだせェ。)」


・・・肺を。
の目に影が差したのを沖田は見逃さなかった。
の頭を自分の肩に引き寄せ、ポンポンと手を乗せた。そんなに気に駆けるなという意味を込めて。
その様子を見た銀時は、演技とか言ってるけどまんざらでもねェんじゃねェか?なんて首をかしげた。
そんな中、ミツバはテーブルの端からおもむろに赤い瓶を取った。


「?アレ?ちょっとお姉さん何やってんの?ねェ。」


そして、パフェに思いっきり赤い液体をかけ始めた。


「お姉さんんんん!!コレ、タバスコォォォォ!!」


横で「タバスコって何ですか?」とか言ってるイケメンお嬢さんは放っておいて、銀時はドン引く。
そんな2人に向かって、ミツバは綺麗な顔でパフェを勧めた。


「そーちゃんがお世話になったお礼に私が特別おいしい食べ方をお教えしようと思って。
 辛いものはお好きですか?」
「いや、辛いものも何も・・・本来辛いものじゃないからねコレ。」
「ケホケホ、やっぱり・・・ケホッ嫌いなんですね。ゴホゴホ、そーちゃんの友達と恋人なのに。」


友達とか恋人関係なくね!?


途端に険しい顔になる銀時。その隣ではタバスコの脅威を知らないがキョトンとしている。
「好きですよね旦那。」と言いながらちゃっかり刀を当ててくる沖田。


なんだコレは・・・今までにないタイプだ


「アハハ・・・アレかも・・・好きかもそういや。」
「やっぱりいいですよね、辛いもの。食が進みますよねやっぱり。私も病気で食欲がない時何度も助けられたんです。」
「わたし辛いものってあんまり食べたことなくて・・・。」


ちょっとだまってて嬢ちゃんは。


「でもパフェ2杯も食べたから、ちょっとおなか一杯になっちゃったかななんて・・・」
「ゲフン ゴホッ ゲホッ ゲフッ」


尋常じゃないほどに咳こむミツバ


「旦那ァァァァア!!」
「みっ・・・水を用意しろォォォ!!!」


食うしかねェじゃねェかーーー!!!!


「ゲホォォォ!!!」


ミツバが赤い液体を口から吹いた。
水飲むなってかァァァァァ!!!!!


「姉上ェェェ!!」
「ミ、ミツバさんーーー!!!」
「んがァァァァ!」


銀時はタバスコパフェを一気食いした。
が、あまりの辛さに火を吐いて倒れ込んだ。


「姉上!姉上!しっかりしてくだせェ!!」
「あ、大丈夫。さっき食べたタバスコ吹いちゃっただけ。」


銀時に水を飲ませながら、「辛い食べ物って危険なんだ!」とは誤った理解をした。






comming later






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ミツバさんと出会いました。
原作に沿わせるって楽しいけど難しいーーー!!